リモートワークになってから「気づけば22時まで仕事していた」「残業が増えたのに、申告しづらい」という経験はないだろうか。オフィスでは終電や退社時間という物理的な区切りがあったが、在宅勤務ではそれがないため、ズルズルと仕事を続けてしまいがちだ。
厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」でも、テレワーク時の労働時間管理は使用者の義務であると明記されている。リモートワークだからといって残業管理が不要になるわけではなく、むしろ対面時以上に適切な管理が求められる。
この記事では、リモートワークの残業を適切に管理するための方法を、従業員側・企業側の両方の視点から解説する。長時間労働を防ぎ、健康的に働き続けるための実践テクニックを紹介していく。

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リモートワークで残業が増える3つの原因
仕事と生活の境界線があいまいになる
自宅が職場になることで、「もうちょっとだけ」と仕事を続けてしまうケースが多い。通勤という自然な区切りがなくなるため、終業時間を過ぎても仕事モードから抜け出せない状態に陥りやすい。
また、夕食後にPCを開いて「ちょっとメールだけ確認しよう」と思ったら、気づけば1時間以上作業していたという話もよくある。
中抜け時間の影響
リモートワークでは、子どもの送迎・宅配の受け取り・家事など、業務の合間に私用の時間が入ることがある。この「中抜け」の分を取り返そうとして、終業後に業務を延長してしまうパターンが発生しやすい。
成果が見えにくいことへの不安
「オフィスにいないぶん、もっと成果を出さないと」というプレッシャーから、必要以上に長く働いてしまう人もいる。上司に「サボっていると思われたくない」という不安が、結果的にサービス残業を生んでしまうケースだ。

従業員ができる残業管理のテクニック
終業時間を「約束」として守る
終業時間をカレンダーに予定として登録し、アラームを設定しよう。終業30分前にアラームを鳴らすことで、「あと30分で仕事を終える」という意識が生まれる。
また、チームメンバーに「○時で上がります」と宣言するのも効果的だ。宣言すると「やめなきゃ」という意識が強くなり、ダラダラ残業の抑止力になる。
タスクの優先順位を明確にする
残業の原因のひとつは、「やるべきこと」と「やったほうがいいこと」の区別がついていないことにある。毎朝3つの最重要タスクを決め、それ以外のタスクは翌日に回す勇気を持とう。
タスク優先順位の決め方(アイゼンハワー・マトリクス)
- 緊急かつ重要 → 今すぐやる
- 緊急ではないが重要 → スケジュールに入れて計画的にやる
- 緊急だが重要ではない → 可能なら他の人に任せる
- 緊急でも重要でもない → やらない(思い切って捨てる)
ポモドーロ・テクニックで時間を区切る
25分集中→5分休憩のサイクルで作業を進めることで、ダラダラ仕事を防ぎ、集中力のある状態で効率的に作業を完了できる。何ポモドーロで完了するかを事前に見積もっておくと、終業時間の逆算もしやすくなる。
「残業貯金」をしない
「今日少し多めに働いておけば、明日楽になる」と考えて残業するのは避けよう。この考え方が習慣化すると、毎日「ちょっとだけ多く」が積み重なり、慢性的な長時間労働に陥ってしまう。
企業・管理者ができる残業管理の仕組み
勤怠管理ツールを導入する
リモートワークの残業を適切に管理するには、勤怠管理ツールの導入が不可欠だ。代表的なツールとしては以下のようなものがある。
おすすめの勤怠管理ツール
- ジンジャー勤怠 → クラウド型で、PCやスマホから打刻可能。残業時間の自動集計機能あり
- KING OF TIME → 打刻方法が豊富(PC・スマホ・ICカード等)。残業アラート機能も搭載
- マネーフォワード クラウド勤怠 → 給与計算との連携がスムーズ。中小企業にも導入しやすい
- HRMOS勤怠 → 残業の事前申請機能や36協定対応の警告機能を搭載
残業の事前申請制を導入する
残業をする場合は事前に上司に申請する仕組みを導入することで、不必要な残業を抑制できる。申請がなければ残業として認めない運用にすることで、「何となく残って仕事する」という状態を防げる。
システムによる強制ログオフ
一定の時刻を過ぎたらVPNや業務システムにアクセスできなくする措置も、長時間労働を物理的に防ぐ手段として有効だ。特に36協定の上限に近づいている従業員に対しては、システム的な制限が効果的だ。

中抜け時間の取り扱いを明確にする
リモートワークでは中抜け時間が発生しやすいため、就業規則でその取り扱いを明確にしておくことが重要だ。主な対応方法としては以下の2つがある。
- 休憩時間として扱う → 中抜け時間分を終業時間に加算して調整する
- 時間単位の年次有給休暇として扱う → 労使協定が必要だが、柔軟な運用が可能になる
法律面で押さえておくべきポイント
テレワークでも労働基準法は適用される
リモートワークであっても、労働基準法の規定は通常通り適用される。使用者には労働時間を適正に把握する義務があり、残業が発生した場合は割増賃金の支払いが必要だ。
36協定の上限を超えないよう注意
36協定で定められた時間外労働の上限(原則として月45時間・年360時間)は、リモートワークでも同様に適用される。企業は、この上限を超えないよう、適切な管理体制を整える必要がある。
サービス残業のリスク
リモートワークでは「残業の自己申告」が基本になるケースが多いが、実際に業務を行っているにもかかわらず残業として申告していない場合、それはサービス残業に該当する。企業側が「残業は認めない」という姿勢を取りながら、業務量を減らさないケースも問題になり得るため、労使双方が注意する必要がある。
リモートワークの残業管理に関するQ&A
Q. 中抜け時間は残業時間から差し引くべきですか?
中抜け時間の取り扱いは企業の就業規則による。休憩時間として扱う場合は、その分だけ終業時間を後ろにずらすことが認められているケースが多い。ただし、中抜け時間に関する規定がない場合はトラブルの元になるため、事前に確認しておくことが大切だ。
Q. 残業を申告しにくい雰囲気があります。
正当な業務を行った分の残業は、きちんと申告する権利がある。もし上司に直接言いにくい場合は、人事部門や労務担当に相談しよう。また、勤怠管理ツールのログが客観的な記録として残るため、ツールの導入を提案するのもひとつの方法だ。
Q. フレックスタイム制でも残業管理は必要ですか?
フレックスタイム制でも残業管理は必要だ。清算期間(通常1ヶ月)における実労働時間が、法定労働時間の総枠を超えた分は時間外労働として扱われるため、割増賃金の支払い義務が発生する。
まとめ
リモートワークの残業管理は、従業員の意識改革だけでは不十分だ。勤怠管理ツールの導入・事前申請制・終業ルーティンの確立など、仕組みとしての対策を講じることが重要になる。
働く側は終業時間を守る意識を持ち、管理する側は残業を減らしつつも業務が回る環境を整えることが求められる。健康的に長く働き続けるためにも、適切な残業管理を心がけよう。

残業管理についてさらに詳しく知りたい方は、以下のサイトも参考にしてほしい。
- ジンジャー|テレワーク・在宅勤務導入後の労働時間管理におすすめな方法
- LISKUL|テレワーク下でも残業管理できる方法とは?
- OBC360°|テレワークの勤怠管理方法は?課題や勤怠管理システムの選び方
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