「契約書のためだけに出社しなきゃいけない」「印刷・押印・郵送の手間がとにかく面倒」という悩みを抱えていませんか。リモートワークが定着した今、紙の契約書は業務効率の大きなボトルネックになっています。
電子契約を導入した企業の約9割が「契約業務にかかる時間が半分以下に短縮された」と回答しており、もはや紙の契約書から電子契約への移行は時代の流れです。印紙代の削減・郵送コストの削減・保管スペースの削減など、コスト面でも大きなメリットがあります。
この記事では、電子契約ツールの選び方とおすすめサービスを比較形式で紹介します。導入のメリット・デメリットから法的な有効性まで、電子契約を検討している方が知っておくべき情報を網羅しているので、ぜひ参考にしてください。

電子契約とは?法的な有効性について
電子契約の仕組み
電子契約とは、紙の契約書の代わりに電子データ(PDF等)で契約を締結する仕組みです。契約書の作成・送信・署名・保管のすべてをオンラインで完結でき、物理的な押印や郵送が不要になります。テレワーク導入全般の進め方はテレワーク導入方法で解説しています。
電子契約では「電子署名」と「タイムスタンプ」を付与することで、「誰が」「いつ」「どの内容で」合意したかを証明します。これにより紙の契約書と同等の法的効力を持つことができます。
法的な有効性
日本では電子署名法(正式名称:電子署名及び認証業務に関する法律)により、電子署名を付した電子契約は書面の契約と同等の法的効力を持つと定められています。2020年以降、政府のデジタル化推進方針もあり、電子契約の法的な位置づけは一層明確になっています。
ただし、一部の契約類型(事業用定期借地権の設定契約、任意後見契約など)は法律で書面が必要と定められており、電子契約では締結できない場合があります。自社で扱う契約の種類が電子契約に対応しているかは、事前に確認してください。
参考:デジタル庁 – 契約のデジタル化について(www.digital.go.jp・サイト終了)
電子契約の署名方式:立会人型 vs 当事者型
立会人型(事業者署名型)
電子契約サービスの事業者が、契約当事者に代わって電子署名を付与する方式です。クラウドサイン・freeeサイン・GMOサインなどの多くのサービスがこの方式を採用しています。
契約相手がサービスのアカウントを持っていなくても、メールで送られたリンクをクリックするだけで署名できるため、導入のハードルが低いのがメリットです。
当事者型
契約の当事者自身が、事前に取得した電子証明書を使って署名する方式です。立会人型よりも法的な証拠力が強いとされますが、双方が電子証明書を取得する必要があるため、導入のハードルは高くなります。
- 立会人型:取引先との一般的な契約(業務委託・NDA・売買契約など)に適する。導入が簡単で、相手にアカウント作成を求めない
- 当事者型:不動産契約や金融契約など、高い証拠力が求められる契約に適する。双方の本人確認が厳格
- ハイブリッド型:一部のサービスでは両方の方式に対応しており、契約の重要度に応じて使い分けが可能
電子契約ツールを選ぶときのチェックポイント
料金体系と送信数
電子契約ツールの料金は、月額基本料金+送信ごとの従量課金が一般的です。月に数件しか契約がない企業と、何十件も締結する企業では最適なプランが異なります。月の契約件数を把握した上で、トータルコストで比較するのがポイントです。
取引先の使いやすさ
電子契約は自社だけでなく、契約相手にも使ってもらう必要があります。相手がアカウント作成不要で署名できるか、スマホからでも操作できるか、直感的に使えるUIかどうかは非常に重要です。使いにくいツールを選ぶと、取引先から「紙の契約書にしてほしい」と言われてしまいます。
テンプレート・ワークフロー機能
頻繁に使う契約書のテンプレートを登録しておけば、毎回ゼロから作成する手間が省けます。また、社内の承認フロー(上長の確認→法務チェック→送信)をワークフローとして設定できると、契約プロセス全体が効率化されます。
既存システムとの連携
CRM(Salesforce・HubSpot)や会計ソフト(freee・マネーフォワード)との連携に対応しているかもチェックしましょう。営業プロセスの中で契約締結まで一気通貫で行えると、業務スピードが大幅に上がります。

おすすめ電子契約ツール5選
クラウドサイン(CloudSign)
日本国内で最も利用されている電子契約サービスです。弁護士ドットコム株式会社が運営しており、法的な信頼性が高いのが特徴。導入企業数は250万社以上、累計送信件数は3,000万件を超えています。
立会人型の電子署名方式を採用しており、契約相手はアカウント不要でメールのリンクから署名できます。月額11,000円〜(Lightプラン)で始められ、送信件数ごとの従量課金(1件220円)が加算されます。無料プランもあり、月5件まで送信可能です。
Salesforce・kintone・Slack・freeeなどとの連携にも対応しており、日本企業の業務環境に最もフィットするサービスと言えます。
参考:クラウドサイン公式サイト
GMOサイン
GMOグローバルサイン・ホールディングスが提供する電子契約サービスです。立会人型と当事者型の両方に対応しているのが大きな特徴で、契約の重要度に応じて使い分けられます。
月額9,680円〜で、送信件数ごとの従量課金は110円〜と業界でも安価です。契約件数が多い企業にとってはコストパフォーマンスが高いサービスです。無料プランでは月5件まで送信可能です。
DocuSign(ドキュサイン)
世界で最も利用されている電子署名サービスです。180カ国以上で利用されており、グローバルに事業を展開する企業にとっては事実上の標準ツールです。海外の取引先と契約を結ぶ際は、DocuSignの知名度が安心感につながります。
43言語に対応しており、海外拠点やグローバルな取引先との契約にも対応できるのがDocuSignの強みです。月額10ドル〜(Personal プラン)で利用可能です。
freeeサイン
会計ソフトのfreeeが提供する電子契約サービスです。freee会計やfreee人事労務との連携がシームレスで、バックオフィス業務を一元化できます。契約書の作成から締結、管理までをfreeeのエコシステム内で完結できるのが魅力です。
スタータープランは月額5,980円〜と比較的安価で、中小企業やスタートアップに向いています。テンプレート機能も充実しており、よく使う契約書を簡単に複製できます。
Adobe Acrobat Sign
PDFの標準ツール「Adobe Acrobat」と統合された電子署名サービスです。Acrobat上で直接電子署名を付与できるため、PDFベースの契約フローにスムーズに組み込めます。Microsoft 365やGoogle Workspaceとの連携にも対応しています。
Adobe Creative Cloudを契約している企業なら、追加コストを抑えて導入できる場合があります。グローバル対応もしっかりしており、DocuSignの代替として選ばれるケースも増えています。
電子契約導入のメリットとデメリット
メリット
1. 契約締結のスピードが劇的に向上:紙の契約書では郵送に数日〜1週間かかりますが、電子契約なら数分〜数時間で締結が完了します。営業サイクルの短縮に直結します。
2. コスト削減:印刷代・郵送代・印紙代・保管コストがすべて不要になります。特に印紙代は契約金額に応じて高額になるため、高額契約を多く扱う企業ほど削減効果が大きいです。
3. リモートワーク対応:契約書の押印のためだけに出社する必要がなくなります。場所を選ばずに契約業務を進められます。
4. 検索・管理が容易:電子データなので、契約書の検索・一覧表示・期限管理が簡単です。紙の契約書をファイルキャビネットから探す手間がなくなります。
5. セキュリティの向上:アクセス権限の設定・監査ログ・暗号化により、紙の契約書よりもセキュリティが高くなるケースが多いです。
デメリット
1. 取引先の理解が必要:電子契約に馴染みのない取引先には丁寧な説明が必要です。「紙の方が安心」と考える相手にはハードルが高い場合があります。
2. 一部の契約類型に使えない:法律で書面が必要と定められている契約には電子契約を使えません。事前に自社の契約類型を確認しましょう。
3. ランニングコストがかかる:月額料金+送信件数の従量課金が継続的に発生します。契約件数が極端に少ない企業の場合、紙の方がコストが安いこともあります。
電子契約の導入にあたっては、自社の契約フローを事前に整理しておくことが重要です。「誰が契約書を作成し、誰が承認し、誰が送信するのか」を明確にしてからツールを選ばないと、導入後に混乱する原因になります。

導入のステップ
ステップ1:自社の契約業務を棚卸しする
まず、自社でどんな種類の契約書を月に何件締結しているかを棚卸ししましょう。NDA・業務委託契約・雇用契約・売買契約など、契約の種類と件数を把握することで、適切なプランを選べます。
ステップ2:無料トライアルで試す
クラウドサイン・GMOサイン・DocuSignいずれも無料プランまたはトライアル期間が用意されています。実際に社内メンバーと模擬契約を行い、操作性を確かめましょう。
ステップ3:社内ルールを整備する
電子契約の利用規定・承認フロー・保管ルールを社内で策定することが重要です。誰がツールの管理者になるか、契約書の保管期間はどうするか、といったルールを事前に決めておきましょう。
ステップ4:取引先に周知する
主要な取引先に対して、電子契約への移行を事前に通知します。「いきなり電子契約が送られてきて戸惑った」とならないよう、丁寧に説明しましょう。電子契約のメリット(押印・郵送不要、すぐに締結完了)を伝えれば、多くの取引先は好意的に受け入れてくれます。
ステップ5:段階的に移行する
いきなり全契約を電子化するのではなく、まずはNDA(秘密保持契約)など比較的シンプルな契約から始めるのがおすすめです。運用に慣れてきたら、業務委託契約・雇用契約と対象を広げていきましょう。
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