在宅勤務で「オフィスにいたときより仕事が進まない」と悩んでいる方は少なくありません。パーソル総合研究所の調査では、在宅勤務者の約7割が「生産性が下がった」と感じているという結果もあります。
しかし、生産性が下がる原因は「在宅勤務そのもの」ではなく、環境・習慣・ツールの3つが最適化されていないことにあります。この3つを同時に整えることで、オフィス以上のパフォーマンスを発揮することも可能です。
この記事では、在宅勤務の生産性を具体的に高めるための「環境づくり」「習慣づくり」「ツール活用」の3つの観点から、実践的な方法を紹介していきます。

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【環境編】集中できるワークスペースを作る
仕事専用のスペースを確保する
在宅勤務の生産性を上げるうえで最も基本的かつ効果が大きいのが、仕事専用のスペースを確保することです。リビングのソファやダイニングテーブルで仕事をしていると、「仕事モード」と「リラックスモード」の切り替えがうまくいきません。
専用の部屋が確保できない場合でも、パーテーションやカーテンで仕切りを作る、デスクの向きを変えて壁に向かうようにするなど、視覚的に区切るだけでも効果があります。「このスペースに座ったら仕事」というルールを脳に覚え込ませることが大切です。
照明を最適化する
照明は作業効率に大きな影響を与えます。環境心理学の研究では、色温度5,000K前後(昼白色)のデスクライトが集中力の維持に効果的とされています。自然光が入る環境であれば、窓際にデスクを配置するのもおすすめです。
ただし、モニターと周囲の明るさに差がありすぎると目が疲れやすくなるため、モニターライト(バータイプのライト)を導入して画面周りの明るさを均一にすると、長時間作業でも目の負担が軽減されます。
音環境を整える
静かすぎる環境では逆に集中できないという方もいます。シカゴ大学の研究によると、約70デシベル程度の適度なアンビエントノイズ(カフェのざわめき程度)が創造性を高めるという結果が出ています。
ノイズキャンセリングイヤホンで外部の雑音を遮断しつつ、「Noisli」や「Coffitivity」などのアプリで適度な環境音を流すと、自宅でもカフェのような集中環境を再現できます。
集中できる環境づくりの3要素:
・仕事専用スペース(視覚的な区切り)
・適切な照明(昼白色5,000K+モニターライト)
・音環境のコントロール(ノイキャン+環境音アプリ)
【環境編】デスク周りの整備
外部モニターの導入
ノートPCの画面だけで作業するのと、外部モニターを追加するのでは、作業効率に大きな差が出ます。資料を見ながら文章を書く、データを参照しながら表を作るなど、2画面あるだけで作業の切り替え時間が大幅に削減されます。
24〜27インチのフルHDモニターであれば、2万円前後から購入可能です。投資対効果を考えると、在宅勤務で最もコスパの高い設備投資の一つと言えます。
椅子とデスクの高さを調整する
長時間のデスクワークでは、椅子とデスクの高さが合っていないと腰痛や肩こりの原因になり、集中力の低下にもつながります。目安として、椅子に座ったときに足の裏が床に着き、肘が90度に曲がる高さがデスクの適正な高さです。

【習慣編】生産性を上げる日常ルーティン
朝のルーティンで「仕事スイッチ」を入れる
在宅勤務では、起きてすぐパジャマのまま仕事を始めてしまう方もいますが、これはおすすめしません。着替える・コーヒーを淹れる・5分だけ散歩するなど、仕事前の「儀式」を作ることで、脳が仕事モードに切り替わります。
通勤がなくなった分、朝の時間にゆとりがあるはずです。その時間を有効に使って、朝食をしっかり取り、身支度を整えてからデスクに向かう習慣をつけましょう。
「最重要タスクファースト」を実践する
1日の中で最も重要なタスクを、最も集中力が高い時間帯(多くの場合は午前中)に取り組む習慣をつけましょう。メールチェックやSNSの確認は、集中作業が終わった後にまとめて行います。
「朝一番にメールを見る」という習慣がある方は多いですが、これは集中力が最も高い時間を低負荷のタスクに使ってしまうことになります。メールチェックは10時以降に設定するだけでも、午前中の生産性が上がります。
適切な休憩を取る
在宅勤務では休憩を飛ばしがちですが、90分ごとに10〜15分の休憩を入れるのが理想的です。人間の集中力は90分前後で自然と低下するため、無理に続けるより一度リセットするほうが効率的です。
休憩中はデスクから離れて、軽いストレッチや散歩をするのがおすすめです。スマートフォンでSNSを見るのは脳が休まらないため、できるだけ画面から離れましょう。
運動を日課に取り入れる
通勤がなくなると、1日の歩数が激減します。運動不足は集中力の低下や睡眠の質の悪化につながるため、意識的に体を動かす習慣を作りましょう。
おすすめは、始業前か昼休みの15〜30分のウォーキングです。日光を浴びることでセロトニンの分泌が促進され、気分がリフレッシュされます。ジムに通う時間がなくても、自宅でできるストレッチやヨガでも十分な効果があります。

【ツール編】生産性を加速させるアプリ・サービス
タスク管理:Todoist
シンプルで使いやすいタスク管理ツールです。タスクの追加が直感的で、優先度設定やプロジェクト分類、繰り返しタスクの設定が可能です。Googleカレンダーとの連携でスケジュール管理と統合できます。
集中支援:Focus To-Do
ポモドーロ・テクニック(25分作業+5分休憩)を実践するためのタイマーアプリです。タスクごとにポモドーロ数を記録できるため、「この作業に何分かかったか」を振り返ることもできます。
時間記録:Toggl Track
作業時間を記録・分析するツールです。ワンクリックで計測を開始でき、1日・1週間単位での時間の使い方をグラフで可視化できます。自分が何にどれだけ時間を使っているかを「見える化」することが、改善の第一歩です。
ノイズ制御:Noisli
雨音・風の音・カフェの環境音など、さまざまなアンビエントサウンドをミックスして再生できるアプリです。自分好みの「集中BGM」を作れるため、自宅でも最適な音環境を実現できます。
参考:アイティークロス「在宅勤務で生産性向上する方法15選」では、さらに多くの具体的な方法が紹介されています。
生産性アップに役立つツールの組み合わせ:
・タスク管理 → Todoist(何をやるか)
・集中支援 → Focus To-Do(集中して取り組む)
・時間記録 → Toggl Track(振り返って改善する)
この「計画→実行→振り返り」のサイクルが生産性向上の王道です。
生産性を下げる「やってはいけないこと」
マルチタスクをやめる
「同時に複数の作業を進めたほうが効率的」と思っている方もいますが、実際は逆です。スタンフォード大学の研究では、マルチタスクを行うと、シングルタスクに比べて生産性が最大40%低下するという結果が出ています。
メールを確認しながら資料を作る、チャットに返信しながら企画を考える、といったことは避け、一つの作業に集中する時間を確保しましょう。
SNS・ニュースサイトの誘惑を断つ
在宅勤務中にSNSやニュースサイトを見てしまう方は多いのではないでしょうか。一度見始めると止まらなくなるため、作業中はブラウザの拡張機能(Cold Turkey Blockerなど)で特定サイトをブロックするのが効果的です。
完璧主義に陥らない
在宅勤務では、成果物でしか自分の仕事ぶりを示せないため、つい完璧を求めてしまいがちです。しかし、80%の完成度で提出して早めにフィードバックをもらうほうが、結果的に質の高いアウトプットにつながります。
在宅勤務では「忙しくしている=生産性が高い」と勘違いしがちです。大切なのは「どれだけ長く働いたか」ではなく「どれだけ重要なタスクを完了させたか」です。成果にフォーカスしましょう。
Q&A|在宅勤務の生産性に関するよくある質問
Q. 午後に眠くなってしまいます。どうすればいいですか?
昼食後の眠気は生理現象なので、完全に防ぐことは難しいです。対策としては、昼食を軽めにする(炭水化物の摂りすぎに注意)、15〜20分の短い昼寝(パワーナップ)を取る、食後に5分程度の散歩をする、などが効果的です。30分以上の昼寝は逆効果になるため注意しましょう。
Q. 在宅勤務で生産性が上がっているか、どう測ればいいですか?
Toggl Trackなどで作業時間を記録し、「1時間あたりに完了したタスク数」や「主要タスクに使った時間の割合」を定期的に確認するのがおすすめです。数値で把握することで、改善点が見えてきます。
Q. 自宅に仕事スペースを確保できません
ワンルームなどでスペースが限られている場合は、折りたたみデスクを使って「仕事のときだけデスクを出す」方法があります。また、近くのコワーキングスペースやカフェを活用するのも一つの選択肢です。
参考:サーブコープ「在宅勤務で集中できない原因と解決策」では、限られたスペースでの集中環境づくりについて解説されています。
参考:Hays「在宅勤務で生産性を飛躍的に高める方法」でも、実践的なアドバイスがまとめられています。
まとめ
在宅勤務の生産性を高めるには、「環境」「習慣」「ツール」の3つを同時に最適化することが重要です。仕事専用のスペースと適切な照明で集中できる環境を整え、朝のルーティンや休憩の習慣で1日のリズムを作り、タスク管理や時間記録のツールで効率を可視化する。
この三位一体のアプローチを実践すれば、在宅勤務でもオフィス以上の生産性を実現できます。すべてを一度に始める必要はないので、まずは自分が最も課題に感じている部分から取り組んでみてください。

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