在宅勤務で増えた電気代やインターネット代、デスクやチェアの購入費…これって経費にできるの?と疑問に思ったことはありませんか。特に確定申告の時期になると、気になる方が多いテーマです。
結論から言うと、フリーランスは仕事で使った分を按分して経費計上でき、会社員は「特定支出控除」を使える可能性があるものの、ハードルがやや高いです。それぞれの立場によって対応方法が変わります。
この記事では、在宅勤務にかかる費用をどこまで経費にできるのか、確定申告ではどう処理するのかを、会社員とフリーランスに分けて詳しく解説します。知らないと損をする内容なので、ぜひ最後まで読んでみてください。

在宅勤務でかかる経費の種類
まず、在宅勤務で発生しやすい費用を整理しておきましょう。
| 費用の種類 | 具体例 | 経費にできるか |
|---|---|---|
| 通信費 | インターネット回線、スマホ代 | 仕事使用分を按分OK |
| 光熱費 | 電気代、ガス代 | 仕事使用分を按分OK |
| 消耗品費 | 文具、インク、コピー用紙 | 全額OK(業務用のみ) |
| 備品費 | デスク、チェア、モニター | 10万円未満は全額OK |
| ソフトウェア代 | Office、Zoom有料プラン | 仕事使用分OK |
| 家賃 | 自宅の家賃 | 仕事スペース分を按分OK |
ここで重要なのが「按分(あんぶん)」という考え方です。自宅の電気代やインターネット代は、プライベートでも使うため、全額を経費にはできません。仕事で使った割合を合理的に計算して、その分だけを経費にするのが按分です。
フリーランス・個人事業主の場合
按分の計算方法
按分の基準はいくつかありますが、代表的なのは「時間」と「面積」です。
時間で按分する場合(通信費・光熱費向き):1日のうち仕事に使った時間の割合で計算します。たとえば、1日8時間仕事をしている場合、8÷24=約33%を経費にできます。ただし、起きている時間で計算して8÷16=50%とする考え方もあります。
面積で按分する場合(家賃向き):自宅全体の面積に対して、仕事スペースの面積の割合で計算します。60平米の自宅で6畳(約10平米)の部屋を仕事部屋にしている場合、10÷60=約17%を経費にできます。
- 按分割合に「正解」はないが、税務署に説明できる合理的な根拠が必要
- 仕事用とプライベート用で回線やスマホを分けていれば、仕事用は全額経費OK
- 按分割合を高くしすぎると税務調査で指摘されるリスクがある
確定申告での処理方法
フリーランスの場合、毎年2月16日〜3月15日に確定申告を行います。在宅勤務の経費は「通信費」「水道光熱費」「地代家賃」「消耗品費」などの勘定科目に分けて記帳します。
青色申告をしていれば、65万円の青色申告特別控除を受けられるため、まだ白色申告の方は青色申告への切り替えを検討しましょう。国税庁の青色申告制度の説明ページで詳細を確認できます。

会社員の場合
特定支出控除とは
会社員が在宅勤務の経費を確定申告で取り戻す方法として「特定支出控除」があります。これは、仕事に必要な支出が一定額を超えた場合に、その超えた分を所得から控除できる制度です。
ただし、以下の条件があるためハードルは高めです。
- 給与所得控除額の2分の1を超えた分だけが対象
- 会社からの「証明書」が必要
- 対象となる支出が限定されている
- すでに会社から在宅勤務手当をもらっている場合は二重計上できない
年収500万円の場合、給与所得控除額は144万円なので、72万円を超える特定支出がないと控除を受けられません。現実的には在宅勤務の経費だけで72万円を超えることは稀です。
会社員が活用しやすい制度
特定支出控除のハードルが高いとはいえ、会社員にも活用できる制度はあります。
在宅勤務手当:多くの企業が月3,000〜5,000円の在宅勤務手当を支給しています。制度がある場合は必ず申請しましょう。
実費精算方式:会社が通信費や電気代を実費精算してくれる場合、一定の方法で計算した金額は非課税となります。国税庁のテレワーク関連FAQで計算方法が公開されています。
10万円以上の備品は「減価償却」が必要
デスクやチェア、パソコンなど、10万円以上の備品を購入した場合、一括で経費にはできません。耐用年数に応じて分割して経費にする「減価償却」が必要になります。
| 備品 | 耐用年数 | 例:15万円の場合の年間経費 |
|---|---|---|
| パソコン | 4年 | 37,500円/年 |
| デスク・チェア(金属製) | 15年 | 10,000円/年 |
| デスク・チェア(木製) | 8年 | 18,750円/年 |
ただし、青色申告をしている場合は「少額減価償却資産の特例」が使え、30万円未満の資産は一括で経費にできます(年間合計300万円まで)。これはフリーランスにとって大きなメリットです。

在宅勤務の経費を最大化するコツ
レシート・領収書を必ず保管する
経費にするには証拠が必要です。備品の領収書はもちろん、光熱費の検針票やインターネットの利用明細も保管しておきましょう。クラウド会計ソフトにスマホで撮影してアップロードしておくと管理が楽になります。
仕事用とプライベート用を分ける
スマホやインターネット回線を仕事用とプライベート用で分けておくと、仕事用は全額経費にできるため、按分の手間がなくなります。格安SIMで仕事用の回線を別途契約するのもアリです。
クラウド会計ソフトを活用する
freeeやマネーフォワードクラウドなどのクラウド会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードの明細を自動取り込みできます。按分設定も一度登録すれば自動計算してくれるので、記帳の手間が大幅に減ります。
よくある質問(FAQ)
Q. 在宅勤務の電気代はどうやって按分すればいいですか?
A. 「仕事時間÷在宅時間」で計算するのが一般的です。1日8時間仕事をしている場合、起きている16時間のうち8時間が仕事なので50%、24時間ベースなら約33%です。どちらの方法でも構いませんが、一度決めた方法は継続して使いましょう。
Q. 会社支給のパソコンで作業している場合、経費にできるものはありますか?
A. パソコン自体は会社支給なので経費にできませんが、モニター、キーボード、マウス、デスク、チェアなどの周辺機器は自費購入なら経費計上の対象になります(フリーランスの場合)。
Q. 在宅勤務手当をもらっている場合、別途経費計上できますか?
A. 在宅勤務手当は基本的に給与として課税されるため、実際にかかった費用が手当を上回る場合でも、二重で控除を受けることは難しいです。ただし、実費精算方式であれば非課税となるケースもあります。
Q. カフェで仕事をした場合の飲食代は経費になりますか?
A. フリーランスの場合、仕事目的でカフェを利用した際の飲食代は「会議費」や「雑費」として経費にできます。ただし、毎日のカフェ代が高額になると指摘される可能性があるため、常識的な範囲にとどめましょう。
Q. 確定申告をしないとどうなりますか?
A. フリーランスで所得が48万円を超える場合や、会社員で副業所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。申告しないと「無申告加算税」や「延滞税」が課される可能性があります。
Q. 税理士に頼むべきですか?
A. 経費の計上方法や按分割合に不安がある場合は、税理士に相談するのが確実です。クラウド会計ソフトと連携した税理士サービスであれば、月額数千円〜1万円程度で対応してもらえます。
まとめ:在宅勤務の経費は「知っているかどうか」で手取りが変わる
- フリーランスは按分して経費計上OK(時間・面積ベースで合理的に計算)
- 会社員は特定支出控除があるがハードルが高い→在宅勤務手当の申請が現実的
- 10万円未満の備品は全額経費、10万円以上は減価償却(青色なら30万円未満一括OK)
- レシート・領収書・利用明細は必ず保管
- クラウド会計ソフトで按分計算と記帳を自動化
- 不安な場合は税理士に相談がベスト
在宅勤務の経費を正しく処理するだけで、年間で数万円〜十数万円の節税につながるケースもあります。まずは自分がどの経費を計上できるのか把握して、日頃からレシートの保管を習慣づけていきましょう。


