リモートワークの普及にともなって、「在宅勤務手当」「テレワーク手当」を導入する企業が増えている。自宅で仕事をすることで発生する通信費・光熱費・備品費用などを補填する目的で支給されるもので、転職活動の際にも注目されるポイントのひとつだ。
ただし、手当の金額や支給条件は企業によってバラバラで、「うちの会社の手当は適正なのか」「他の会社はいくらくらい出しているのか」がわかりにくい状況でもある。
この記事では、リモートワーク手当の一般的な相場、企業の導入事例、課税上の注意点、そして手当が支給されていない場合の交渉方法まで詳しく解説する。

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リモートワーク手当(在宅勤務手当)とは
手当の目的と対象経費
リモートワーク手当は、在宅勤務によって従業員が負担することになった費用を補填するために支給される手当だ。主な対象経費としては以下のようなものがある。
- インターネット回線の通信費
- 電気代・冷暖房費などの光熱費
- デスク・椅子・モニターなどの備品費
- 文具・印刷費などの消耗品費
- スマートフォンの通話料・データ通信費
これらの費用をまとめて「在宅勤務手当」として月額で支給するケースが一般的だ。
通勤手当との関係
リモートワーク手当の導入にともなって、通勤手当を廃止または日額精算に変更する企業も増えている。毎日出社しないのであれば定期代を支給する合理性がなくなるため、出社した日数分だけ交通費を精算する方式に切り替えるケースだ。
その浮いた分をリモートワーク手当の原資に充てている企業もある。
リモートワーク手当の相場
月額手当の相場は3,000〜5,000円
リモートワーク手当の月額相場は3,000円〜5,000円が一般的だ。この金額は、通信費と光熱費の増加分を大まかにカバーする水準として設定されていることが多い。
リモートワーク手当の金額帯別の傾向
- 月額3,000円前後 → 中小企業に多い。通信費の一部補填という位置づけ
- 月額5,000円前後 → 大手企業に多い。通信費+光熱費をカバーする水準
- 月額10,000円以上 → IT企業など一部の企業で見られる。備品費も含む手厚い制度
初期費用の一時金支給の相場
月額手当とは別に、リモートワーク開始時に環境整備の一時金を支給する企業もある。この場合の相場は30,000円〜60,000円程度だ。デスク・椅子・モニター・通信機器などの購入に充てることが想定されている。

企業のリモートワーク手当導入事例
IT・テック企業の事例
IT企業はリモートワークの導入が早かった分、手当制度も充実している傾向がある。
- メルカリ → リモートワーク移行時に半年間で6万円の環境整備費を支給。従業員はデスクや椅子、通信環境の整備に充てることができた
- 旧ヤフー(現LINEヤフー) → 環境整備費として電子マネーで5万円を支給。加えて毎月の通信費補助も実施
- ドワンゴ → 電気代・通信費等の手当として全社員に月額3,306円を一律支給
なお、企業の勤務形態は年々変化しており、出社回帰やハイブリッドワークへの移行にともなって手当制度が変更されているケースもある。詳細は各社の公式情報で確認してほしい。
大手企業の事例
IT企業以外でも、在宅勤務手当を導入する大手企業は増えている。製造業・金融業・小売業など幅広い業種で、月額3,000〜5,000円程度の手当が設けられるようになった。
特に、コロナ禍以降に恒常的なリモートワーク制度を整備した企業では、通勤手当の見直しとセットで在宅勤務手当を導入するケースが多く見られる。
リモートワーク手当の課税ルール
一律支給は原則「課税対象」
在宅勤務手当として月額で一律支給する場合、原則として給与所得として課税対象になる。つまり、所得税・住民税が増える分、手取りは額面通りにはならない。
たとえば月額5,000円の手当が支給されても、所得税率20%の場合、実質的な手取りは約4,000円になる計算だ。
非課税にする方法もある
実際にかかった費用を実費精算する場合は、経費の立替払いとして非課税になる。また、国税庁のFAQでは、通信費について「在宅勤務日数÷該当月の日数×1/2」の算式で業務使用分を計算し、その金額を支給する場合は非課税として取り扱える旨が示されている。
課税・非課税の判断ポイント
- 実費精算 → 非課税(経費の立替払い扱い)
- 定額の一律手当 → 原則課税(給与所得扱い)
- 合理的な算出方法で業務使用分を計算して支給 → 非課税の可能性あり
- 判断に迷う場合は、自社の経理部門または税理士に確認することが大切

手当がない場合の対処法
社内制度を確認する
まずは自社の就業規則やリモートワーク規程を確認しよう。制度があるのに知らなかっただけ、というケースも意外と多い。人事部門に問い合わせてみるのが最初のステップだ。
上司・人事に制度の導入を提案する
制度がない場合は、他社事例や相場のデータを添えて制度導入を提案するのも有効だ。「従業員のエンゲージメント向上」「採用競争力の強化」「通勤手当の見直し分で原資を確保可能」など、会社にとってのメリットを提示すると、提案が通りやすくなる。
確定申告で特定支出控除を検討する
会社から手当が出ない場合、確定申告の「特定支出控除」を利用できる可能性がある。ただし、適用条件が厳しく、会社の証明書が必要になるため、実際に適用できるケースは限定的だ。詳細は国税庁のサイトや税理士に相談することをおすすめする。
転職時にチェックすべきポイント
求人票の「在宅勤務手当」欄を確認
リモートワーク可能な企業に転職する際は、在宅勤務手当の有無と金額を確認しよう。求人票に記載がない場合でも、面接時に質問して確認することが大切だ。
通勤手当との兼ね合いを確認する
リモートワーク手当が支給される代わりに通勤手当が削減されるケースもある。トータルで見たときに収入が減らないかどうか、しっかり計算してから判断しよう。
リモートワーク手当に関するQ&A
Q. パートや契約社員でもリモートワーク手当はもらえますか?
雇用形態によって支給対象が異なる場合がある。同一労働同一賃金の原則に照らすと、正社員と同じ業務をリモートで行っている場合は、不合理な待遇差は認められないとされている。自社の制度を確認し、不明点は人事に相談しよう。
Q. 在宅勤務手当は社会保険料の計算に含まれますか?
一律支給の手当は、原則として社会保険料の算定基礎となる「標準報酬月額」に含まれる。つまり、手当の分だけ社会保険料が増える可能性がある。ただし、実費精算の場合は含まれないため、支給方法によって扱いが異なる。
Q. フリーランスの場合はどう考えればいいですか?
フリーランスの場合、リモートワーク手当という概念はなく、自宅で発生する通信費・光熱費は事業経費として確定申告で計上できる。家事按分の割合を適切に設定し、業務使用分を経費に算入しよう。
まとめ
リモートワーク手当の相場は月額3,000〜5,000円が一般的で、環境整備の一時金は30,000〜60,000円程度だ。課税・非課税の取り扱いは支給方法によって異なるため、自社の制度内容をしっかり確認しておこう。
手当がない場合は、他社事例や相場データを添えて制度導入を提案するのもひとつの方法だ。リモートワークを長く快適に続けるためにも、経済的な負担は適切に解消していこう。

在宅勤務手当について、さらに詳しい情報は以下のサイトも参考にしてほしい。
- ジンジャー|在宅勤務手当(テレワーク手当)とは?課税・非課税や金額相場を解説
- マネーフォワード|在宅勤務手当とは?相場・事例や導入のメリットも解説
- ReWorks|在宅勤務手当の相場や転職時のポイントを解説
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