テレワークで社内システムにアクセスする際、VPN(仮想プライベートネットワーク)は欠かせないセキュリティ対策です。でも「VPNって何を選べばいいの?」「種類が多すぎて分からない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
VPN選びで最も重要なのは「通信速度」「セキュリティ」「同時接続数」の3つです。この3つのバランスが自社の利用環境に合っているかどうかで、テレワークの快適さとセキュリティが大きく変わります。
この記事では、テレワーク向けVPNの仕組みから選び方、主要サービスの比較まで、VPN導入に必要な情報をまとめました。企業向けと個人向けそれぞれのおすすめも紹介するので、自分に合ったVPNが見つかるはずです。

VPNの仕組みをわかりやすく解説
VPNとは何か
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上に仮想的な専用回線を作る技術です。自宅やカフェから会社のネットワークにアクセスする際、通信データを暗号化して安全に送受信できます。
VPNを使わずに公共Wi-Fiからアクセスするのは、ハガキで機密書類を送るようなものです。VPNを使えば封筒(暗号化)に入れて送れるので、途中で誰かに見られる心配がなくなります。
VPNの種類
| 種類 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| リモートアクセスVPN | 個人の端末から社内ネットワークに接続 | テレワーク(最も一般的) |
| サイト間VPN(拠点間VPN) | 拠点同士をVPNで接続 | 複数拠点を持つ企業 |
| SSL-VPN | Webブラウザ経由で接続可能 | 専用ソフト不要で手軽 |
| IPsec-VPN | 高いセキュリティと安定性 | セキュリティ要件が厳しい企業 |
テレワーク用途で最も一般的なのは「リモートアクセスVPN」です。社員が自宅からVPNクライアントソフトを使って社内ネットワークに接続する形式で、多くの企業がこの方式を採用しています。
テレワーク向けVPNの選び方
通信速度と安定性
VPNを経由すると通信速度が低下するのは避けられませんが、サービスによって低下の度合いが異なります。ビデオ会議を頻繁に行うチームは、通信速度の低下が少ないVPNサービスを選ぶことが重要です。無料トライアルやお試し期間を使って、実際の速度を確認しましょう。
同時接続数
企業向けVPNの場合、全社員が同時に接続するケースも想定して十分な同時接続数を確保する必要があります。社員100人が一斉にVPN接続するとサーバーがパンクした…という事例もあるので、ピーク時を想定した設計が大切です。
セキュリティ機能
暗号化方式(AES-256が標準)、認証方式(多要素認証対応か)、ログの管理方針(ノーログポリシーかどうか)を確認しましょう。
運用の手軽さ
IT部門の負担を考えると、クラウド型のVPNサービスが管理しやすいです。オンプレミスVPN(自社設置型)は柔軟性が高いですが、構築・運用にIT知識が必要です。

企業向けVPNサービスの比較
| サービス名 | タイプ | 特徴 | 月額目安(1ユーザー) |
|---|---|---|---|
| Cisco AnyConnect | オンプレミス/クラウド | 大企業での実績が豊富、高い信頼性 | 要問い合わせ |
| FortiClient VPN | オンプレミス | FortiGateとの統合、コスパが良い | 要問い合わせ |
| Cloudflare Access | クラウド | ゼロトラスト対応、VPN不要のアクセス | 約700円〜 |
| NordLayer(NordVPN Teams) | クラウド | 中小企業向け、導入が簡単 | 約1,100円〜 |
| Perimeter 81 | クラウド | ゼロトラスト+VPN、管理画面が使いやすい | 約1,200円〜 |
大企業にはCisco AnyConnectやFortiClient、中小企業にはNordLayerやPerimeter 81がフィットしやすいです。最近のトレンドとしては、Cloudflare Accessのような「VPNを使わないゼロトラストアクセス」も注目されています。
個人利用・フリーランス向けVPNの比較
フリーランスや個人事業主がカフェや出先で安全に仕事をするためのVPNサービスです。
| サービス名 | 月額料金 | 同時接続台数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| NordVPN | 約550円〜 | 10台 | 速度・セキュリティのバランスが良い |
| ExpressVPN | 約900円〜 | 8台 | 通信速度が最速クラス |
| Surfshark | 約350円〜 | 無制限 | 同時接続無制限でコスパ最強 |
| ProtonVPN | 無料〜約600円 | 10台 | プライバシー重視、無料プランあり |
コスパ重視ならSurfshark、速度重視ならExpressVPN、バランス型ならNordVPNが定番です。いずれも30日間の返金保証があるので、実際に試してから判断できます。

VPN導入時の注意点
- 無料VPNは通信データを収集・販売しているケースがあるため業務利用は避ける
- VPNだけでは万全ではない(端末のセキュリティ、パスワード管理も必要)
- 同時接続数が不足するとピーク時に接続できなくなる
- VPN経由だと通信速度が低下するため、ビデオ会議の品質に影響する場合がある
- 海外のVPNサービスは日本語サポートが限定的な場合がある
VPN以外のリモートアクセス方法
リモートデスクトップ
会社のPCに自宅から接続して操作する方式です。データが会社のPCに残るためセキュリティが高い反面、ネットワーク速度に依存するため、回線が遅いと操作にストレスを感じます。Windows標準のリモートデスクトップやChrome リモート デスクトップが代表的です。
仮想デスクトップ(VDI)
サーバー上に仮想的なデスクトップ環境を構築し、社員がリモートで接続する方式です。セキュリティと管理性に優れますが、導入コストが高いため大企業向けです。
クラウドサービスの直接利用
Google WorkspaceやMicrosoft 365などのクラウドサービスをメインで使っている企業なら、VPNなしでも十分な場合があります。クラウドサービス自体にセキュリティ機能が組み込まれているため、多要素認証とアクセス制御を適切に設定すれば安全にアクセスできます。
よくある質問(FAQ)
Q. VPNを使うと通信速度はどのくらい落ちますか?
A. サービスや接続先サーバーによりますが、一般的に10〜30%程度の速度低下が目安です。高品質なVPNサービスであれば体感できないレベルに抑えられます。ビデオ会議が途切れるほど遅い場合は、VPNサーバーの変更やプランのアップグレードを検討しましょう。
Q. 無料のVPNはテレワークに使えますか?
A. 業務利用にはおすすめしません。無料VPNは通信データの収集や広告表示で収益を得ているケースが多く、機密情報を扱うテレワークには不向きです。ProtonVPNの無料プランは比較的信頼性が高いですが、速度やサーバー数に制限があります。
Q. VPNとリモートデスクトップはどちらがいいですか?
A. 社内のファイルサーバーやシステムにアクセスするだけならVPN、会社のPCをそのまま操作したいならリモートデスクトップが適しています。両方を併用するケースも多いです。
Q. VPNの設定は難しいですか?
A. クラウド型のVPNサービスであれば、管理画面からアカウントを作成し、社員にクライアントソフトをインストールしてもらうだけで完了します。オンプレミス型は専用機器の設置や設定が必要なため、IT知識が必要です。
Q. VPNがあればセキュリティは万全ですか?
A. VPNはあくまで「通信の暗号化」を行うツールです。端末のウイルス対策、パスワード管理、フィッシング対策など、VPN以外のセキュリティ対策も組み合わせて初めて万全と言えます。
Q. スマホからもVPNは使えますか?
A. はい。ほとんどのVPNサービスはiOS・Androidアプリを提供しています。スマホで業務メールを確認したり、社内システムにアクセスしたりする場合もVPN経由で接続しましょう。
まとめ:テレワークのVPNは「自社の規模と用途」に合わせて選ぶ
- VPNは通信を暗号化してテレワークのセキュリティを確保する基本ツール
- 選ぶポイントは「通信速度」「セキュリティ」「同時接続数」の3つ
- 大企業はCisco・FortiGate、中小企業はNordLayer・Perimeter 81が有力候補
- 個人・フリーランスはNordVPN・Surfshark・ExpressVPNが定番
- 無料VPNは業務利用を避ける(データ収集リスクあり)
- VPNだけでなく、多要素認証や端末セキュリティも合わせて整備する
VPNはテレワークのセキュリティを支える土台です。自社の規模や利用環境に合ったVPNを選び、安全なリモートワーク環境を構築してください。まずは無料トライアルやお試し期間を活用して、実際の使い勝手を確認してみましょう。


