テレワークの普及に伴い、従来のオフィス中心の福利厚生では社員のニーズに応えきれなくなっています。社員食堂やオフィス内のフィットネスルームなど、出社しないと使えない福利厚生は、テレワーク社員にとっては恩恵を受けられないものになってしまいます。
テレワーク環境に対応した福利厚生を整えることは、社員満足度の向上だけでなく、人材の獲得・定着にも大きく影響する時代です。総務省の調査によると、リモートワークの導入企業は47.3%にのぼり、テレワーク対応の福利厚生はもはや「あれば嬉しい」ではなく「なくてはならない」ものになりつつあります。
この記事では、テレワーク時代に社員に喜ばれる福利厚生と、導入する際のポイントを紹介します。

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テレワーク対応で注目されている福利厚生
在宅勤務手当(テレワーク手当)
テレワーク対応の福利厚生としてもっとも一般的なのが在宅勤務手当です。相場は月額3,000円〜5,000円程度で、光熱費や通信費の補填を目的に支給されています(参考:マネーフォワード 在宅勤務手当の相場)。より充実した企業では月額10,000円程度を支給しているケースもあります。
支給方法は大きく分けて2つあります。
- 一律支給方式:毎月固定額を支給(運用がシンプルだが課税対象になりやすい)
- 実費精算方式:実際にかかった費用を精算(非課税にできる可能性があるが運用が煩雑)
在宅勤務環境の整備支援
自宅に業務環境を構築するための費用を補助する制度です。デスク、椅子、モニター、ヘッドセットなどの購入費用を一定額まで会社が負担するケースが多く見られます。入社時に「環境整備一時金」として5万〜10万円程度を支給する企業もあります。
補助を使う社員がまず選ぶのは椅子であることが多いです。ダイニングチェアで一日座り続けると腰まわりの負担が気になるという声もあり、リクライニングやランバーサポート付きのワークチェアが選ばれています。
食事補助サービス
社員食堂が使えないテレワーク社員向けに、食事補助サービスを導入する企業が増えています。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、全国のコンビニやレストランで使える食事補助サービスで、導入企業は4,000社を超えています(参考:エデンレッド テレワークの福利厚生)。

社員に人気の福利厚生
コワーキングスペース利用補助
自宅以外の場所で働きたい社員のために、コワーキングスペースの利用料を月額いくらまで補助する制度です。自宅だと集中できない社員や、家族がいて仕事がしにくい社員にとって、ありがたい制度です。WeWorkなどと法人契約している企業もあります。
オンラインフィットネス・ヘルスケア
テレワークによる運動不足や体調不良に対応するため、オンラインフィットネスの法人プランを導入する企業があります。ヨガやストレッチのオンラインレッスンを受け放題にしたり、健康管理アプリを全社員に提供して歩数チャレンジを開催したりする取り組みが見られます。
オンラインレッスンを自宅で受けるなら、床で行うポーズのために1枚マットがあると始めやすくなります。会社が福利厚生でレッスンを用意する場合、あわせて備品購入の補助対象に含めておくと利用率が上がります。
メンタルヘルスサポート
テレワークでは孤独感やストレスを抱える社員が増えやすいため、オンラインカウンセリングサービスを福利厚生として導入する企業が増えています。EAP(従業員支援プログラム)の一環として、専門のカウンセラーにいつでも相談できる体制を整えることが重要です。
スキルアップ支援
通勤時間がなくなったテレワーク社員が自己研鑽に充てられるよう、オンライン学習プラットフォームの法人プランを提供する企業もあります。Udemy Business、Schoo、グロービス学び放題などが代表的なサービスです。
通信費・光熱費の実費補助
在宅勤務手当とは別に、通信回線の契約料やWi-Fiルーターのレンタル費用を会社が負担するケースもあります。特に、自宅のインターネット回線が遅い社員にはポケットWi-Fiを貸与するなどの対応が喜ばれます。
回線そのものよりも、古いルーターが原因で速度が出ていないケースも少なくありません。買い替え費用を補助対象に含めておくと、少ない負担で通信環境を底上げできます。
福利厚生を導入する際は、社員にアンケートを取って「何が求められているか」を把握してから選ぶのがおすすめです。会社が良かれと思って導入しても、社員のニーズと合っていなければ利用率は上がりません。
福利厚生を導入する際のポイント
テレワーク社員と出社社員の公平性を保つ
テレワーク社員だけが優遇される、あるいは出社社員だけが恩恵を受けるといった不公平が生じないよう、双方に対応した福利厚生を設計しましょう。たとえば、出社社員には社員食堂を、テレワーク社員には食事補助チケットを提供するなど、形は違っても同等の価値を提供する工夫が求められます(参考:リロクラブ テレワークの福利厚生)。
利用しやすい仕組みにする
せっかくの福利厚生も、申請手続きが煩雑だったり、対象範囲がわかりにくかったりすると利用率が下がります。オンラインで簡単に申請でき、対象となるサービスや金額が一目でわかるようにしておきましょう。
制度の周知を徹底する
福利厚生を導入しても、社員が「そんな制度があるとは知らなかった」という状態では意味がありません。社内ポータルサイト、チャットでの告知、入社時のオリエンテーションなど、複数のチャネルで繰り返し周知することが大切です。
コストと効果のバランスを考える
福利厚生は社員満足度の向上に直結しますが、コストもかかります。まずは在宅勤務手当と環境整備支援から始め、社員の反応や利用率を見ながら段階的に拡充していくのが現実的なアプローチです。

在宅勤務手当の課税・非課税の取り扱いは支給方式によって異なります。一律支給は原則課税、実費精算は条件を満たせば非課税になる場合があります。導入前に税理士や社労士に確認しましょう。
福利厚生導入の成功事例
大手IT企業の在宅勤務サポート
大手IT企業では、在宅勤務環境の整備に必要な備品の購入費用を補助する制度を多く導入しています。デスクや椅子、モニターなどを一定額まで会社が負担し、社員が快適に在宅勤務できる環境を整えています。入社時に「環境整備一時金」として5〜10万円程度を支給するケースもあります。この取り組みにより、テレワーク導入後の社員満足度が向上したと報告されています。
備品のなかでも申請が多いのが外部モニターです。ノートPCの画面だけで資料と会議画面を切り替えるより、1枚足すだけで作業のしやすさが変わったという声がよく挙がります。
コワーキングスペースの法人契約事例
テレワーク社員向けにコワーキングスペースの法人契約を行い、社員が全国のコワーキングスペースを利用できる制度を整備している企業もあります。自宅以外の選択肢を提供することで、気分転換をしながら生産性を維持できる環境を実現しています。月額上限を設定して利用費を補助する形が多く、社員の自由度が高い制度として人気があります。
テレワーク福利厚生に関するよくある質問
Q. 在宅勤務手当は課税されますか?
一律支給の場合は原則として給与所得に含まれ、課税対象になります。一方、実際にかかった通信費や電気代を計算して精算する方式であれば、実費弁償として非課税になる可能性があります。国税庁が公表している計算式に基づいて算出する方法もあります。導入前に税理士に確認するのが安心です。
Q. 少ない予算でも導入できる福利厚生はありますか?
月額数千円の在宅勤務手当からスタートするのが一般的です。そのほか、オンラインヨガの法人プランやオンライン学習サービスの割引など、低コストで始められるサービスもあります。まずは社員アンケートでニーズを把握し、コストパフォーマンスの高い施策から着手しましょう。福利厚生の代行サービスを利用すれば、個別に契約するよりもコストを抑えられるケースもあります。
Q. 福利厚生の利用率が低い場合はどうすればいいですか?
利用率が低い原因として多いのは「制度を知らない」「申請方法がわからない」の2つです。社内ポータルでの告知に加え、チャットでの定期的なリマインドや、利用者の声の共有を行うと認知度が上がります。利用方法を動画で解説するのも効果的です。利用した社員の感想を社内報に掲載すると、「自分も使ってみよう」という動きが生まれます。

まとめ
テレワーク時代の福利厚生は、在宅勤務手当、環境整備支援、食事補助、ヘルスケア、スキルアップ支援など、自宅で働く社員のニーズに寄り添った内容が求められています。
導入の際は、テレワーク社員と出社社員の公平性を保ちつつ、利用しやすい仕組みを整え、十分な周知を行うことがポイントです。社員アンケートでニーズを把握してから導入すると、利用率も満足度も高まります。
福利厚生の充実は、社員のエンゲージメント向上だけでなく、採用活動でのアピールポイントにもなります。テレワーク対応の福利厚生を整えることは、これからの企業にとって重要な投資です。
今後はメタバース空間でのバーチャルオフィスの提供、AIを活用した個別最適な健康アドバイス、ワーケーション支援など、新しい形の福利厚生もさらに広がっていくでしょう。従来の画一的な福利厚生から、個人が自分に合ったメニューを選べる柔軟な制度へと移行する流れは、今後ますます加速していく見込みです。
福利厚生の今後のトレンド
テレワークの福利厚生は今後さらに多様化すると予想されます。メタバース空間でのバーチャルオフィスの提供、AIを活用した個別最適な健康アドバイス、ワーケーション支援(宿泊費補助やWi-Fi完備のホテルとの法人契約)など、新しい形の福利厚生が登場しています。社員のライフステージやワークスタイルに合わせて選択できる「カフェテリアプラン」型の福利厚生制度も、テレワーク環境との相性がよく注目されています。従来の画一的な福利厚生から、個人が自分に合ったメニューを選べる柔軟な制度へと移行する流れは、今後ますます加速していくでしょう。
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